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中国歴史小説と幻想的な恋の話


「源じいさんの愛した女」 第12話 月の光

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                   世紀末の画家 ロートレック
                   トゥルーズ伯爵家に生まれた 
                   場末の女性を欠かせたら右に出る者はいなかった
                   ポスターの先駆者でもある。

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 冴は店をやりながらも、わしが帰ってくると、必ず食事の用意をしてくれた。その時のわしはそんな冴の思い遣りも理解することが来なかった。男と言う生き物は本当に勝手な生き物だと思うよ。

 わしの作った借金を返す為に働いている冴に、やり場のない怒りを感じながら、口にすることも出来ず、ついには外で酒を飲んで憂さを晴らすようになってしまった。

 わしには冴が少しずつ手の届かない所へ行ってしまうような気がしていた。酒を飲んで帰ってくると、店の仕事で疲れているだろう冴を押し倒した。冴にはわしの苛立ちがわかっていたのだろう。まるで子供を相手をするように文句も言わず、わしの腕に抱かれていた。

 あの頃はわしも仕事で疲れていたのだろう。わしは少しずつ自分自身の気持ちを見失っていた。

 ある晩いつもと同じように外で飲んでいると、普段は気にも留めなかった、わしと同じ歳くらいのホステスと妙に気が合ったのだ。    
 昔の苦労話や戦争の時の話に盛り上がった。子供が二人いるのだが、亭主が炭鉱の落盤で亡くなり、どうしても自分が働きに出なければならないのだと話していた。

 冴もわしと同じように歳を取っていれば、あのホステスと同じように、体に肉がつき、肌がたるみ、顔には皺が目立つようになっているはずだと思いながら、話を聞いていたんだ。

 客にもろくに相手にされない、その女の哀れな姿が、わし自身のように見えていた。その女を見ながら、あの時から少しも変わらない冴の姿と、変わり果てた自分の姿を比べていたんだ。

 皺だらけの女の手を見ながら、自分が冴に期待している姿は、いつまでも若々しい姿ではなく、まして源氏物語でも懐石料理でもなく、一緒に歳を取って欲しいことに気がついた。しかし、借金に追われていたあの時期に、冴に店を閉めてくれとは、とても言えなかった。

 魔がさすと言うのはあの時の事を言うのだ。わし自身もまさか、あのホステスと寝るとは思いもしなかった。男と女の不思議さは、いつの間にかそのホステスと冴の姿を重ねるようにして抱いてしまった事だった。

 だが抱き合った後、隣に寝ている女の姿を見た時、何故この女と冴の姿が重なったのか自分でもわからなかった。激しい後悔がわしを襲って来たけれど、すでに取り返しのつかない事だった。

 逃げるようにして連れ込み宿から出ると、まるで刃物のような鋭い月が輝いていた。いっそあの月に首でも切られてしまえば楽になると思いながら、冴の待つ家に向った。

 顔を合わせた時に何んと言って誤魔化そうかと考えていたが、勘の鋭い冴を騙せる訳もないと、家の前を何度も行ったり来たりしていた。

 そして突然玄関が開いて綺麗に身支度した冴が出て来たんだ


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by shou20031 | 2005-02-20 23:18 | 大人のメルヘン

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