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中国歴史小説と幻想的な恋の話


「源じいさんの愛した女」 第3話 泣き落とし

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  わしは冴の顔に惚れ、体に惚れていたものだから、心底わしを心配してくれる冴の心に本気で惚れてしまった。
 心配して今にも泣き出しそうな冴に、実はこれこれの理由で小遣いを貯めて来ているのだと言うと、今度はそんな事をしたら体を悪くしてしまうから止めてくれと、涙を流して言うのだ。

 わしはこれが女郎の泣き落としだとしても、この女にだったら騙されても良いと思った。
すると、冴があんたがどうしても私の体を抱きたいと言うのだったら、今まで通り来て下い。
その代わり、帳場で払うお金は私が立て替えましょうって言うのさ。驚いたね。それはもう来るなと言う事なのかと尋ねたよ。

 まさか女郎がただで体を抱かせるわけがないからね。自分でもだんだん腹が立ってきたね。体を壊そうが、わしが好きでやっているんだ。そんな事を理由に来るなと言われる覚えはないし、冴にそれほどまで嫌われたのかと思うと、悔しくてね。

 普段炭や薪を運んで真っ黒になってるからと言って、女郎にまでこけにされたのかと思って、思わず怒鳴ってしまったよ。
 そしたら冴が何を勘違いしてるのかと言うのだ。冴はあんたの律儀さに惚れたんだ。女郎が惚れた男に出来る事は、自分を買いに来る金で苦労させない事だけなんだ。私のような不細工な女をいくら初めての女だからと言って、律儀に買い続けてくれたわしに惚れたのだと。
 
 嬉しかったね。生まれて初めて女に惚れたと言われたんだ。思わず冴を力一杯抱きしめたよ。だけど可笑しいじゃねえか、わしには天女のように美しく見える冴が、番頭さんにも不細工と言われ、本人までも自分のことを不細工と言うからには、きっと何か裏があると思ったんだ」

「源じいさんちょっと待ってくれ」
   私は源じいさんの話が長くなりそうなので、台所から酒の肴になりそうなものを捜した。源じいさんにも葛湯を作って部屋に戻った。源じいさんの台所はいつ来ても綺麗に整理されていて、不思議なことに、私でもどこに何があるのか良くわかった。

「話し過ぎて、少し腹が減っただろう。まだ熱いから気をつけてな」
「先生。葛湯なんて、よくある場所がわかったな。わしでさえどこに片付けたのか忘れてしまったのに」
   源じいさんはまだ熱い葛湯を口で吹いて冷ましながら、旨そうに啜った。

 源じいさんは立川でも立志伝中の人物であった。何期か市会議員も勤め、市長に推薦された事もあったが、十年やると議員も飽きたと言い、きっぱり政治から足を洗った。

 市会議員などと言うと利権がらみで、叩けば埃が出て来るのが当たり前みたいなものであった。源じいさんは革新政党でもないのに、市営住宅の建設や、みなし子の施設や老人ホームの建設などを戦後の日本の復興時から取り上げていた。福祉が革新政党の政治に利用されると、自分のやる事はもうないと言って、潔く議員を辞めてしまった。
 その時、当時の市長が源じいさんの自宅まで辞めないように説得に来たという話を聞いたことがあった。

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by shou20031 | 2005-02-11 23:38 | 大人のメルヘン

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永遠の愛ってあるのだろうか
by shou20031
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