印象派の宝庫 バーンズ・コレクション 講談社
念願のバーンズ・コレクションの本が図書館から借りれました。これまでの画集と違って一枚ごとに解説が付けてあり楽しく読めました。関係のある作品の解説もあって美術の教科書のようでした。バーンズの目指した教育機関としての美術館の意志を継いでいるのでしょうか。一枚一枚の画の解説を読んでいるだけで楽しくなります。
あまりにも有名なルノワールの裸婦の絵のオンパレードです。ルノワールの描く女性はふくよかでどこか幼い表情があります。少しお肉がついた彼女達の姿を見ると、いつの時代から痩せている女性が美しいとされたのか不思議に思えます。私もルノアールの描く女性のほうが好きなんですね。女性の持つ優しさとか美しさが存在感のある姿で描かれている気がします。現代の痩せて胸だけ大きなグラビアアイドルを描いても名画として残らなかった気がするのは私だけなのでしょうか。
セザンヌの絵と言えば応接室に飾られたフランスの長閑な郊外を描いた風景画か、テーブルに並べられた果物を描いた静物画でしょうか。私が始めてセザンヌの静物画を見たイメージはフランスの林檎は赤みが少なくて美味しくなさそうだなと思った記憶があります。バーンズ・コレクションにはセザンヌの人物画がありますが、まるで林檎を見たときの印象のように不健康な顔色なのです。そこには私の計り知れない深い芸術性があるのでしょうが、セザンヌの描く人物画はうちの応接室には飾りたくないですね。
女性と言えばロートレックの描く女性はどこかアンニュイで煽情的なイメージで欲望を掻き立てられます。場末の女性を描き続けたロートレックはいつだって男の本音が感じられます。そしてパリでロートレックに強い影響をうけたピカソはキュービズム以前の青の時代とばら色の時代の絵が紹介されていました。マティスの豊かな色彩と優しい線に心を癒されるのは私だけなのでしょうか。しかしマティスしても時代によって描く色が違っているのに気がつきます。
どこかの古本屋さんで探して来て一冊手元に置きたいくらい素晴らしい本なのです。でも重たいのが難点ですね
念願の本だったので★★★★です。たぶん図書館にあると思います。
そう言えば渋谷のBUNKAMURA美術館で箱根にあるポーラ美術館の印象派展をやっていました。大阪国際美術館では印象派を中心とした「プーシキン美術館展」をやっています
一緒に読んだ本「悪魔と呼ばれたコレクター バーンズ・コレクションを作った男の肖像」 小学館