中国歴史小説と幻想的な恋の話


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「まほろばの風」「荒蝦夷」 熊谷達也

「まほろばの疾風」「荒蝦夷」 熊谷達也


東北を書き続けた作者の当然の帰結として大和朝廷に侵略されてゆく東北の蝦夷(えみし)の姿を二冊とも書いたものです。最初に「まほろばの風」を書いてその数年後「荒蝦夷」を書いたようです。
多賀城を蝦夷鎮撫の橋頭堡にした天平年間の話です。坂上田村麻呂が征夷大将軍になる前後の時代設定になっています。陸奥や出羽のそれぞれの蝦夷の部族が大和朝廷に服するほうが自己の権益を拡大できるかできないかで蝦夷同士も対立してしまいます。やがて大和朝廷の東北地方征討の根拠地多賀城を襲うアテルイの反乱がおこります。

「まほろばの疾風」はアテルイを主人公としたもので独立心の旺盛な蝦夷の部族をまとめて大和朝廷と戦う姿を描いています。大巫女モレとの最後の姿にはちょっと胸がジーンと来てしまいました。

「荒蝦夷」はアテルイの父親で大和朝廷から官位までもらっていたアザマロを主要な登場人物としたものです。アザマロが蝦夷をまとめあげるその智謀と策略に胸が躍りますが、最後のシーンがどうしてそうなるのかな~って思ってしまいます。しかし「まほろばの疾風」を書き終えた作者が納得できずに書き直した結末なのですからしかたないか~


この時大和朝廷に服さず蝦夷としての誇りと文化を持ち続けようとした人々のの末裔がマタギでありサンカであるというような仮説を立てているのでしょうか?一連の熊谷小説を読んでいるとそんな感じを受けました。

(5点満点中両方とも★★★☆です)☆は半分

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by shou20031 | 2005-09-26 22:14 |


「邂逅の森」 熊谷達也

c0039644_184666.jpg「邂逅の森」 熊谷達也

作者である熊谷達也はこの作品で直木賞を受賞しました。この作品映画化出切るのだろうか興味あるな~正直に言いいますとそんなに期待してなかったのです。「相剋の森」の終わり方納得してなかったですしね。でも頭をガツンとやられました。正直この一作は読んで欲しいな。

ストーリーは明治を末期から昭和初期までの東北のマタギの生活を描いています。マタギの次男の富治は身分をわきまえず地主の一人娘文枝と恋に陥りますが、文枝の父親に反対され鉱夫として村を出ます。しかし地中で穴を掘る生活に耐え切れずまたマタギへの生活へ戻ろうとしますが、様々な試練に立ち向かい、イクと言う女性と夫婦となりやがてマタギの頭領(スカリ)となってゆきます。文章の端々に出てくる東北地方の農村の貧しさと山の恵の対比が面白いですね。田畑を持たないマタギが一冬の獲物で一年を過ごす金を得るのです。それも全ては山の恵みとして真摯に山の神に感謝するマタギの習慣が描かれているのですが。これは壮大な恋愛小説でもあるのです。最後の熊との戦いのシーンは圧巻です。

この作品は「相剋の森」と話が繋がっているのです。「相剋の森」の編集者美佐江と文枝の関係なんか結構ルーツぽくていいですね。

(ここまで言えば星★★★★★です)

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誠に勝手ながら集中して作業をしたいために10月末までブログの更新が著しく遅れることをお許し下さい。皆様のブログには時々お邪魔しますのでそのときにはよろしくお願いします。
再開したらまたよろしくお願いします。
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by shou20031 | 2005-09-19 18:00 |


「漂泊の牙」 熊谷達也

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「漂泊の牙」 熊谷達也

先に読んだ「相剋の森」より前に書かれた作品です。こちらは題材をマタギからサンカ。動物を熊からオオカミと変えてあります。主人公は「相剋の森」と同じく女性で今回はテレビディレクターでした。

 ストーリーは絶滅したはずのオオカミに女性が食い殺されてしまい、何と狼研究家の夫が妻を殺した狼を追い詰める姿を描いて行きます。そこに登場人物それぞれのしがらみと殺人事件が絡んで行き一気に読ませてくれました。狼研究家が狼を追跡してゆく姿がとても臨場感豊かに描かれています。何せテンポが良いので読みやすくページ数も「相剋の森」の半分です。

最後になって一気に登場人物の人間関係が明かされるのです。好みの問題ですけど、ちょっとひっぱり過ぎなのかな~っておもいました。まあ推理小説なのですからしかたのないことなんでしょうね。「相克の森」や「邂逅の森」よりも軽い感じで読めますが、中身もちゃんとしています。東北の自然と動物を描かせたらこの作者は圧巻ですね。

この作品は新田次郎賞受賞作品らしいです。
(★★★★です~)


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by shou20031 | 2005-09-18 00:27 |


「相剋の森」 熊谷達也


「相剋の森」 熊谷達也

仙台でタウン誌の編集長をしている美佐子が主人公でその周辺の男女の恋愛ドラマと人生を描いていますが、物語の中心はマタギと呼ばれる猟師の熊猟に関して話は進められるます。
「今の時代熊を殺さなくても生きていける」と言う女性編集者である美佐子の主張とマタギとして生活している人々との交流?を通して物語は展開されます。
マタギの一人から「山は半分殺すぐらいがちょどいい」と言う言葉を聞いた美佐子がそれはどうしてなのか取材を始めることで美佐子自身のルーツまで辿ってゆくと言う思わぬ展開もあります。
最初は陳腐な自然保護や動物愛護が展開されるのかなと思いましたが、この作者よほどしっかりと熊を含めた野生動物の問題を取材しているらしくかなり読み応えがあります。何せ私は若い時は”なんちゃっとアウトドア派”だったのです。ぐいぐいこの本に引き込まれてしまいました。新幹線で東京ー上田間の往復で読み終えました。何だかもっと読んでいたかったな~最後の終わり方物足りません熊谷さん!そっか作者も熊だった。

この小説は地方新聞数社に連載されていた小説の単行本化です。ストーリとして直木賞受賞作「邂逅の 森」はその後のマタギの歴史になるのかな~「 邂逅の 森 」も読まないといけないな~
(今回から五点満点での表示です。★★★です~)


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by shou20031 | 2005-09-14 23:24 |


夜叉


君は鬼夜叉の伝説を知っている
綺麗な人ほど怖い顔になるのを

僕は君の美しさに
心奪われたわけじゃない
もし僕の目が光を失ったとしても
僕は君の優しさに
かならず心を奪われるだろうから

僕が若い女に心変わりしたら
愛の強さが君を鬼夜叉に変える。

僕は君の優しさが好き
容姿の美しさは衰えるけど
歳とともに君のやさしさが輝いて
僕はいつまでも
いつまでも君に夢中でいられるから

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by shou20031 | 2005-09-12 12:13 |


陽射し


激しい雨がガラス窓を洗っている
待ち合わせのカフェに来るはずのない人を待つ

怒ったように木はふるえ枝をしならせ
かきむしるように葉を散らせている
それは禁じられていることへの怒りなのか
元々結ばれぬ縁だったのか
定めた気持ちがまた彷徨う

ガラス窓を打つ雨音は激しくなり
やがてカフェは私一人となる

今日は帰るつもりのない部屋
心に錐を刺す苦しみから解き放たれる為に
時計はテーブルの上に置いてきた
それは来るはずのないあなたを
いつまでも待ち続ける密かな想い

風がガラス窓をふるわせる
激しい風雨が一瞬の間止まった

嵐のような雲が割れ僅かな陽がさした時
ずぶ濡れのあなたがドアを開けた
眠りを切り裂く悲しみが止まり
戻すことのできない時間が動きはじめ
帰ることのない部屋の鍵を捨てる


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先日台風が来た朝、会社の近くにあるホテルのガラス張りのカフェに美しい女性が人待ち顔で座っていました。私は仕事の打ち合わせをしていたのですが1時間たってもその女性は、誰かを待っているのでしょうか、風に激しく揺れる外の風景を見詰めていました。はるか昔の自分の思い出と何かが重なって詩ができました。
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by shou20031 | 2005-09-08 20:58 |


道ゆき



生きて行くには苦しすぎる
離れてゆくには辛すぎる
叶うことなら二人で
このまま落ちて行こう。
常識も義務も全てを忘れ
激情と欲望に身を焦して
二人肌を重ねたままで

後ろ指差されようが死ぬ時は同じ
あなたと一緒に手をつないで、
閻魔様の前まで歩いて行こう。
針のむしろも串刺しも
あなたと一緒ならおちて行こう。
どこまでも、どこまでも、
あなたと一緒なら


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まるで近松の心中物ような詩になってしまいましたが、ふっと浮んだ一節を言葉にしてみました。先日翔さんは恋する悦びは詩にされないのですかと尋ねられたのですが、そう言われると恋に夢中で楽しい時を詩にしたことがありませんでした。私の場合悲しみや怒り苦しみ、不安など心が揺れるときは詩が浮ぶのですが嬉しいときはどういうわけか浮びませんでした。
はてはてどうしたわけなんでしょう?
江戸時代の人情本には心中物って結構ありますが、月9のトレンディードラマには心中物なんてないのはやはり時代によってはやりすたりがあるのでしょうね。
ちなみに江戸時代心中して生き残ると、市中引き廻ししの上、張り付けの刑だったらしいですね。心中が多く見せしめの意味があったそうです。それでもあなたは愛しい人と心中しますか?
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by shou20031 | 2005-09-03 23:03 |

    

永遠の愛ってあるのだろうか
by shou20031
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